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13.Feb.2025

宮沢賢治の物語『虔十公園林』とアートが交わる空間。企画展「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」2月21日(金)よりBAG-Brillia Art Gallery-で開催

“ほんとうのさいわい”を考える、作家・田﨑飛鳥のアートワークショップやトークイベントも開催

株式会社ヘラルボニー(以下、ヘラルボニー)は、東京建物株式会社(以下、東京建物)とともに、2025年2月21日(金)から3月20日(木)まで東京建物京橋ビル1階「BAG-Brillia Art Gallery-(バッグ ブリリア アート ギャラリー、以下「BAG」)」にて企画展「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」を開催いたします。本展では、宮沢賢治の短編童話『虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)』を題材に、ヘラルボニー契約作家9名の作品を交えながら、未来を想像する場を創出します。アートワークショップやトークイベントも予定されており、物語とアートが交わる特別な空間を体験いただけます。

「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」展開催の背景

展覧会場「BAG-Brillia Art Gallery-」は、東京建物株式会社が「アートを通じて人々の暮らしを豊かにし、地域社会とのつながりを深める」ことを目的に運営するギャラリーです。東京・京橋という歴史ある芸術文化の地域に位置し「暮らしとアート」をテーマに多様な企画展示を展開してきました。

 

ヘラルボニーとBAGはこれまで、2021年「ヘラルボニー/ゼロからはじまる」展、2022年展覧会「ヘラルボニー/異彩のみらい」など、多様性やBAGの共生社会の理念に共鳴する展覧会を開催してきました。

このたび、3回目となる展示「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」を開催します。本企画展は、宮沢賢治の短編童話『虔十公園林』に着想を得て企画されました。

 

ヘラルボニーは、2018年に双子の兄弟 松田文登・崇弥によって創業されました。「自閉症の兄へ向けられる冷たい視線を変えたい」という思いから始まったこの挑戦は、先入観や常識にとらわれず、一人ひとりの特性「異彩」を解き放ち、未来の文化をつくることを目指しています。


創業の地・岩手県花巻市出身の詩人・童話作家である宮沢賢治の作品からは「価値を決めつけないこと」「信念を曲げず貫くこと」など、ヘラルボニーの活動にも深く通じる考え方を読み取ることができます。


本展では、創業時、宮沢賢治研究者である二人の伯父・牛崎敏哉氏により紹介された『虔十公園林』の世界観を軸に、ヘラルボニーが考える「100年先の未来に残る価値」とは何かを、来場者の皆さまと一緒に考える機会を創出します。宮沢賢治が問い続けた「ほんとうのさいわい」とは何か。その答えを、未来に向けてともに探る場となれば幸いです。

開催概要

展覧会名「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」
会期2025年2月21日(金)~ 2025年3月20日(木)
会場BAG-Brillia Art Gallery-

〒104-0031 東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル1階
開館時間:11:00-19:00(定休日:月曜)
※ 2月24日(月・祝)は開館、翌25日(火)休館とします。

料金無料
主催東京建物株式会社
企画株式会社ヘラルボニー
企画監修公益財団法人彫刻の森芸術文化財団
宮沢賢治に関する監修牛崎 敏哉(宮沢賢治記念館学芸員)
展示施工NUMBERZET株式会社
協力大橋 和夫(木版画作家)
運営株式会社クオラス
公式サイトhttps://www.brillia-art.com/bag/

※アクセシビリティに関する注記

ヘラルボニーが提供するアクセシビリティに関するリストを基に、サポート体制を整えております。ご案内の詳細はBAG公式サイト(https://www.brillia-art.com/bag/index.html)をご覧ください。

展示によせてのメッセージ

ヘラルボニーが目指す世界も「ほんとうのさいわい」と響き合う。

 

異彩を放つ作家たちの作品を「福祉」の枠を超えた「アート」として世に問い、その美しさや力強さを社会に届けることで、新たな価値観を生み出し、純粋な創造の力として世に提示する。

 

まるで、周囲が虔十を嘲笑しながらも、やがて彼の植えた杉の森の恩恵を受けるように、社会が気づかぬうちにアートの価値に触れ、その可能性を享受していく。

 

虔十の森が村の未来を耕すように、ヘラルボニーの活動もまた、誰もが自分の存在価値を肯定できる社会を築くための種を蒔いている。

 

その先にあるのは、「弱さ」や「異質さ」を排除するのではなく、それらを社会の豊かさへと変える世界なのかもしれない。

 

松田文登・崇弥

双子の兄・松田文登(右)、弟・松田崇弥(左)

展示内容

「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」では、宮沢賢治の物語に描かれた「先入観や常識を超えて信念を貫き、未来を作る」というテーマを現代に呼び起こし、以下のような体験を通じて、来場者一人ひとりに新たな問いを投げかけます。

◾️BAG内展示スペース「+2」

『虔十公園林』の物語に触れ、その中で得られる「問い」を共有するとともに、ヘラルボニーのこれまでの歩みを紹介します。

「#障害者という言葉」 (2020.2)

「鳥肌が立つ、確定申告がある。」(2023.1)

◾️BAG内展示スペース「+1」

虔十の信念をヘラルボニー独自の視点で再解釈し、100年後の『虔十公園林』をみんなで創造する公園空間を展開します。来場者のアクションで展示風景が変化する仕組みなど、参加型の展示を通じて、公園の景色を一緒につくっていく体験を提供します。公園内には、作家・田﨑飛鳥氏の作品展示のほか、3名の作家のアートスツールで景色を彩ります。また、宮沢賢治の絵本や書籍を多数ご用意しており、お手に取って自由にご覧いただけます。

作家名:田﨑 飛鳥 
作品名:「森の道・赤い森2」

◾️DUCU|ヘラルボニー

DUCUとヘラルボニーの作家のコラボレーションによるスツール「bou」を、BAG内展示スペース「+1」の公園内に設置します。この展示のための特別なコラボレーションが実現しました。

  • DUCUとは愛媛県の久万造林、木工を営む福祉事業所のうさぎ堂の課題とデザインが手を組み、三方よしを目指して、地場のヒノキを使ったプロジェクトです。森、つくり手とデザイン、使い手との相互に健やかなリレーションをもたらす取り組みでありたいと願っております。公式サイト:https://docu.jp/bou – Design: Takeshi Nishio

◾️会期中の開催イベント

宮沢賢治とヘラルボニーが紡ぐ企画展「みんなでつくる未来の公園 ヘラルボニーと宮沢賢治」を通して、未来を考えるイベントを企画しています。

 

各イベント詳細は以下BAG公式サイトをご参照ください。
▶︎BAG公式サイト:https://www.brillia-art.com/bag/index.html

※車椅子をご利用のお客様もご来場いただけます。文字起こしアプリや筆談ボードもご用意しています。イベントは予定であり、今後変更の可能性があります。

  • 【ワークショップ】『みんなで彩る、公園の景色』作家・田﨑飛鳥とつくる創作アートワークショップ
    BAG内展示スペース「+1」の壁面を彩る作品を創作します。
    日時:2月22日(土)、2月23日(日) 11:00〜12:30、13:30〜15:00、15:30〜17:00
    ※作家の体調不良等不測の事態が発生した場合、イベントを中止することがございます。あらかじめご了承ください。
    ▶︎申込はこちら:https://bag-artworkshop.peatix.com/
  • 【トークイベント】椿鬼奴さんと語る!宮沢賢治の考える「ほんとうのさいわい」とは?
    日時:3月7日(金)18:00〜20:00
    ▶︎申込はこちら:https://bag-talkevent.peatix.com/
  • 【ワークショップ】社会の当たり前を問い直す 宮沢賢治と一緒に考える、これからのビジネスの哲学
    日時:3月14日(金)19:00〜21:00
    ▶︎申込はこちら:https://bag-workshop.peatix.com/

起用作家・作品紹介

◾️作品展示

作家名:田﨑 飛鳥(Asuka Tazaki) 岩手県/個人

 

陸前高田市在住。彼は生まれながらにして、脳性麻痺と知的障害がある。幼いころから絵本や画集に興味を持ち、彫金作家である父、實さんの勧めで絵を描き始めるとその才能は伸びていき、アート展では賞を受賞するまでに。東日本大震災の津波により、自宅、今まで描いてきた約200点の絵、親しんできた豊かな自然とそこに住む人々…かけがえのない大切なものを一瞬で失った。あまりの衝撃と悲しみから、ショックで一度は筆を置いてしまったが、父からの言葉で、再び筆を取る。壮絶な経験を経て生み出された作品は、多くの人の心を動かす。

作品名:「森の道ー青い森」

作品名:「森の道ー赤い森」

作家名:内山.K(Uchiyama.K) 三重県/希望の園

 

100種類以上の0.5ミリペンで描かれる「〇〇の地図」シリーズは、ラメペンで描き込まれた箇所がキラキラと輝き、秘密の宝地図のようでもある。作品に下書きは存在せず、まるで細胞が増殖するように生き物や数字、時には鬼をもモチーフを数珠繋ぎで描いていく。そのあまりの緻密さに思わずため息が漏れてしまう。普段は人見知りで寡黙な彼だが、作品紹介を振られると普段の姿からは信じられないほど流暢に語る一面があり、それがなんとも愛らしい。

作品名:「赤と青の世界の地図」

作家名:輪島 貫太(Kanta Wajima) 石川県/金沢アート工房

 

石川県金沢市生まれ。2歳のころ、動物に興味を持つようになり絵を描くようになる。 成長とともに落語、おもちゃ、アニメ、みんなのうた、トリビアなど、その時々で興味あるものを集合させて描くのが好き。絵の中に登場するキャラクターは本人と妹の他にオリジナルキャラを描き込むことが多い。将来の夢は、自分の絵やキャラクターたちを使ったアニメーションを作ること。アニメのキャスティングやシナリオを考えながら日々創作活動に励んでいる。

作品名:「sdgsが達成された未来」

作家名:小林 覚(Satoru Kobayashi)岩手県/るんびにい美術館

 

養護学校の中等部に在学中、あらゆる文字を独自のルールで変形させて書くようになる。はじめは周囲も困惑し、直そうと苦心したが、やがて複数の教諭らがその文字を彼の独創的な「造形表現」として捉え、積極的に制作を支えたことで、彼の表現は多くの人に喜びを与えるアートとして羽ばたき始めた。好きな音楽家はビリー・ジョエル、スピッツ、井上陽水。背中を掻いてもらうというやり取りを通して他者とコミュニケーションを図ろうとする。

作品名:「数字」

作家名:高橋 南(Minami Takahashi)岩手県/るんびにい美術館

 

クーピーペンシルやクレヨンを塗り重ねることで作り上げられた作品は、一見すると、素早い鉛筆の動きを要する激しい制作態度を連想させる。しかし実は、彼女の制作は非常にゆっくりと穏やかである。彼女の描き出すひとつひとつの色は、お互いに交じり合うことなく、それぞれにその美しさを主張しながら画面の上に現れ、激しさと静けさが不思議に同居しており、心を惹きつけられずにはいられない。

作品名:「風のロンド」

作家名:佐々木 早苗(Sanae Sasaki)岩手県/るんびにい美術館

 

絵画のみならず織り物、切り紙、刺繍など、いずれも緻密で色彩と構成の妙に富む様々な表現を生み出し続けている。彼女は一つの仕事に数か月から数年集中して取り組んだあと、不意にやめて別の仕事に移るのが常。現在彼女が打ち込んでいるのは、丸く切り抜いた紙をいくつもの色で同心円状に彩色し、塗り終わった紙を壁に並べて貼っていくこと。

作品名:「無題」

◾️スツール起用

作家名:伊賀 敢男留(Kaoru Iga)東京都/個人

2015年にアールブリュット立川に出展したことをきっかけに毎年作品を発表している。色鉛筆、パステル、絵の具と様々な画材を横断的に駆使するが、絵の具ではペインティングナイフを好んで使う。近年は抽象画に加えて具象画(静物画)を描くようになった。絵を描く傍ら20年間チェロを習っており、音楽を奏でる彼の真剣な眼差しが印象的である。会話は苦手だが好奇心が旺盛で、何事にも意欲的に取り組んでいる。

作品名:「緑の風景」

作家名:谷田 圭也之(Kayano Tanida)チェンマイ/個人

 

毎朝目覚ましのベルの音もなく7時に起きて、フルーツの入っていない白いヨーグルトとイチゴ牛乳をコップ一杯飲むのが日常。驚くほど上達したゲームの数々をこなし、卓越したこだわりを持った独自の生き方をしている彼女。そんな彼女にとって、アクリル絵の具との出会いは幸せの始まりであった。絵を描くことが日課となり、そのカラフルで心踊る表現は、実際彼女に見えている風景であり、ほとんど言葉を発しない彼女の言葉なのである。

作品名:「How are you guys?」

作家名:福井 将宏(Masahiro Fukui)鳥取県/アートスペースからふる

 

モチーフを見ながらアクリル絵具で描くというのが彼の制作スタイル。長年花をモチーフに描いており、近年は一つの花にこだわり何か月も同じ花を描き続けることがある。色や形を単純化して構成する画面の構成力も魅力である。太筆で描き進める作品は、愛らしく、見る人を優しい世界へ連れて行く。一方、マジックペンで大胆に表現されるオリジナルの「福井フォント」が使われた作品は凛然とした雰囲気を纏い、見るひとの目を惑わせる。

作品名:「チューリップ2」

※本リリースでご紹介した作品は一部です。会場では、作家たちの独創性あふれる作品を直接ご覧いただけます。ぜひ足を運び、その魅力をご体感ください。

<STAFF>
ビジネスプロデュース:泉 雄太(株式会社ヘラルボニー)
プランニング:榧森 千愛、阿部 麗実(株式会社ヘラルボニー)
プロジェクトマネジメント:岡 志津(株式会社ヘラルボニー)
イベントプランニング:長尾 綾乃、宮本英実(株式会社ヘラルボニー)
リサーチ:澤内 望(株式会社ヘラルボニー)
空間設計/デザイン:西尾 健史 (DAYS.)
コピーライティング:北野 早苗
グラフィックデザイン:オダ ヒロト(株式会社SOJI)、小谷 将人